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Vol.4 米子市外国語表記案内看板デザインが出来るまで(2020)

コンセプトの作成

はじめに想像したのは大きなリュックを背負い
スマホとハンドブックと案内看板を交互に眺めている海外からの観光客の姿

米子市の委託業務として外国語表記案内看板のコンペが開催され、(有)北斗工芸の飯塚さんがクリエイティブディレクターとしてクライアント対応・スケジュール管理・予算管理・看板の設計・加工・組み立て・設置を担当し、シュハリ石川が看板デザイン・MAPデザイン・記載内容に関する企画をアートディレクター・デザイナーとして担当し、参加しました。

クライアントからの要望は外国人観光客および国内観光客の方を米子城跡へ明確に誘導すること、またその周辺エリアの散策エリアの紹介、英語と日本語を表記する。その中ではじめに想像したのは大きなリュックや荷物を持ち、スマホとハンドブックと案内看板を交互に眺めている海外からの観光客の姿でした。そこで少しでも「楽」に「安心」して「有意義」な米子観光を楽しんでもらえることを主軸として考え、

①【ちょっと荷物がおける】通常の平らな看板ではなく、荷物が置けて、メモがとれたり資料等がおけるように、机のある看板にする。
②【存在感がある】遠方からでも地図があるといことが分かるようにサイドに壁面をつけ「MAP」と明記する。
③【安心してもらう】伝えたい情報だけではなく、観光客が分かっていると安心できる、充電が出来る場所・トイレ・ATM・外国語が通じる情報ステーション等をJIS規格のアイコンで表記する
④【計画してもらう】調べるだけでなく、その場で散策計画が出来るような情報と環境を整える

上記①〜④を柱にコンセプトを「ここは観光案内看板ではなく、マップステーション」としデザイン案を作成することにしました。

企画書の一部

企画案・デザインプランの作成

設定したコンセプトのもと、
必要である要素を組み合わせながらデザイン案を作成

MAPデザインは欲しい情報がすぐ分かるようにシンプルなデザインにして、カラーは実際に設置した場合に光の加減、看板周辺の環境でネガバージョンとポジバージョンどちらがこの看板にふさわしいかを検証するために両方作成しました。さらに観光客に提案するかたちで米子城跡からの散策コースを時間のかからないショートと観光スポットを十分に散策できるロングを掲載し、計画に役立つようにしました。また今回は2箇所に設置することになっているのでMAPの向きをそれぞれの方角に合わせ2種類準備することにしました。周辺観光情報は机として設置する盤面とサイドの壁面パネルを利用して、散策コースに合わせながら、写真付きで紹介するものとテキストのみで紹介するものと分け、情報の整理をしやすくすることに重きを置きました。

構造デザインに関しては、交差点に設置するので自動車や歩行者の安全と、周辺環境に馴染ませるのか、または存在感を際立たせるのかを検証できるように、黒・シルバー・透明バーションを作成し、提案しました。また飯塚さんより、なるべく長期間、美しい状態で利用してもらえるように看板の保全に役立つ素材と加工の提案があり、あわせてクライアントに提示しました。さらにUSB充電を設置することを考えましたが、電気工事の必要もあり予算の関係上、今回は話し合いで見送ることとしました。

企画書の一部

プラン採用から仕上げ

情報や原稿量が想定より大きく増えた場合も
設定したコンセプトに寄り添いながら、見やすく丁寧に整える

プランが採択され、本格的に制作が始まりました。
採択の大きな理由に上記の①〜④のコンセプトへの共感があり、構造デザインには大きく変更はありませんでしたが、公的な情報看板であることから、掲載すべき情報、特に文章はかなり増えていき、英語・日本語共に、いかに分かりやすく、読みやすく、見る人が整理しやすいレイアウトに整えるかが大事でした。また合成シミュレーションなどを繰り返し、クライアント・北斗工芸・当社で検証し合い、MAP・構造のカラーも決まりました。最終的にはポジのMAPの方が読みやすく、設置する場所も交通の視界の妨げにはなりませんでしたので黒ベースとなりましたが、周辺環境や米子市にある公的な看板の色とのバランスでダークブラウンが採用され、施工開始、納品となりました。

盤面図

日本タイポグラフィ年鑑2022 入選作品
Sign (2020)

Creative Direction = 飯塚 卓郎
Art Direction & Design = 石川 誠規
Illustration & Design = 森田 雅美

Client = 米子市(鳥取県米子市)
制作会社 = 有限会社北斗工芸(鳥取県米子市)