Vol.6 AOR コンセプト&ロゴデザインが出来るまで（2019）

全国でスポーツクラブ等を運営する（株）ルネサンスが開業支援をし、大阪市にある桜宮ゴルフクラブ施設内に、高酸素ルームと低酸素トレーニングを兼ね備えたスポーツジムを開業するためのプロジェクトチームに、デザイン制作担当として（有）あっぷるはうすと共にアートディレクターおよびファシリテーターとして参加しました。
まずはファシリテーターとして、ルネサンスから提供してもらったエリア人口や年齢層、競合他社の分布など様々なマーケティング資料をもとに、2日間開催されるコンセプトミーティング用の資料を作成しました。2日間のミーティングではある程度投げかける質問を想定し、自然と語り合いの中で目指すべき方向性、考えられる問題点ないし疑問点、運営会社の強み、地域性、求められるデザインに対しての想いを伝えてもらえるように進めました。ミーティング中には軸になるであろうキーワードをメモ書きし、壁に貼り付けていくことで、長い時間の中でも、個々に会議の振り返りができる状況をつくり、また多種多様な施設デザインやグラフィックデザイン、風景や抽象的なイメージ写真資料を準備し、色調も含めたスポーツジムの完成図を全員で想像しました。
1日目終了と共に、そのキーワードや想像する完成図イメージをベースにサービスの特徴・考え方・独自性・ターゲットを明確にし、関係者がともに同じ方向を目指すためのコンセプト文章案を作成し、2日目のミーティングでコンセプト文章の検証を行いました。
コンセプト文章は地域の健康拠点になるという想いと、想定されるターゲットが時間や曜日により異なり、幅広いことから、シニア夫婦・主婦・会社員という3パターンのスポーツジムを使用するストーリーを考え、共有するコンセプト文章としました。

コンセプト文章を元に、あっぷるはうすと当社スタッフで案出しした100点近いものから、選定したネーミング案20数点と、ルネサンス、桜宮ゴルフクラブから提案されたネーミング案をあわせ、3社で投票および話し合いを重ね、AOR（Air Oriented Room）に決定しました。ロゴデザインをするにあたってのキーワードは、コンセプトミーティングで話し合ったデザインの方向性を考慮し、「空気」「空間」「ナチュラル」「シンプル」としました。
「空気」は高酸素・低酸素と空気コントロールに特徴のあるスポーツジムであるということ、「空間」は空気コントロールされた特別な場所であり、お客様にとって健康を維持できる、また自分をリセット出来る大切な場所にしてもらいたいというコンセプトから、「ナチュラル」はコンセプト会議で話し合った店舗デザインも含めた方向性の中でもっとも多く支持のあった方向性であり、低酸素=高地、高酸素=森林をイメージできるということと、落ち着きがあり、リラックスできるナチュラルな空間を目指す、「シンプル」というのはターゲットが幅広いので、単一の印象に縛られるデザインではなく、見る人がそれぞれに受け入れやすいデザインということを意識して4プラン作成、そのうちの1案で決定になりました。

決まったデザイン案をベースに、線幅や「O」の空きスペースのバランスの検証、その中で視認性やバランスを考慮し、仕上げたデザインでロゴは完成となりました。カラーに関しては青みがかったグレーで提案をしていましたが、店舗デザインとの関係や視認性を高めたいという要望がり、再度プランし、ネイビーで決定しました。決まったデザインを元に使用マニュアルの作成・データのバリエーション準備、サインへの展開、ロゴを含めたコンセプトブックを作成し業務完了となりました。