Vol.5 中海テレビ放送 開局30周年記念誌 カバーデザインが出来るまで（2020）

鳥取県米子市のケーブルテレビ局、中海テレビ放送の開局30周年記念誌の制作プロジェクトを（株）合同印刷と（有）あっぷるはうすの共同制作で進めることとなり、発注元である合同印刷が中海テレビ放送との予算調整、ページ立て、本文デザイン、印刷・装丁を担当、クリエイティブディレクターとしてクライアントを含めたプロジェクトチームの管理・調整、デザイン監修をあっぷるはうす 遠藤 亨が担当、カバーデザイン、各項のベースとなるデザイン、デザイン監修をシュハリ 石川が担当する、3社による制作チームでプロジェクトを進めました。また中海テレビ放送の30年の歴史を語る本文は、中海テレビ放送の意向により、米子市の作家・松本 薫さんに依頼し、タイトルは中海テレビ放送のミッションステートメントである「地域をつなぐ 未来へつなげる」で進めることになりました。

記念誌のカバーデザインを考えるにあたり、僕自身も15年程度中海テレビ放送のデザインに関わっている中で、分かっているつもりでも、改めてこれまでの中海テレビ放送の歩みを調べ、ケーブルテレビが浸透していなかった30年前、「テレビならもうある」と言われた時代から、ケーブルテレビ・インターネット・電話・電力・モバイル・SDGz活動など地域に欠かせない企業となった現在までの歴史、常に地域を応援する、元気にする想いを抱いているぶれない企業精神を文章にまとめ、デザインのきっかけになるキーワード（重ねる・繋がる・少しずつ・一歩ずつ・紡ぐ・手作り・紆余曲折）を選出。このキーワードから想いをふくらましデザインプランを作成しました。

A：少しずつ地域に必要とされる企業となっていく歩を、ぬり重ねることで染めた赤の絵の具で表現し、紆余曲折を絵の具の盛りや谷で表現したデザイン。
B：ミッションステートメンとでもある地域との絆、繋がりを結び目で表現し、結び目の力強さ、たくましさを表現するために綺麗につくられたものではなく、
質感のある勢いと決意を感じるにじみを大事にしたデザイン。
C：中海テレビ放送、前社長である故・秦野一憲氏が尽力し完成した弓ヶ浜サイクリングロードと鳥取県西部の象徴大山でデザインしたもの。
E：米子市の市鳥でもあり、中海の風物詩でもある白鳥をモチーフに、社員一同が尽力し、自らの手で築き上げた30年を表現するために折り紙の白鳥でデザインしたもの。
F：開局からこれまで作成してきた販促物やノベルティなどのコラージュで「重ねる」を表現したデザイン・。
G：ミッションステートメンとでもある地域との絆、繋がりを「紡ぐ」で表現したデザイン。光の糸が紡がれて中海テレビ放送のマークになっているデザイン。

数回のミーティング、中海テレビ放送社内会議を経てC案で決定となりました。

全ページの原稿が揃い、ページ構成が決まったところで、合同印刷で作業を進めていた本文や各項の原稿入れしたページのレイアウトチェックに入りました。原稿量の差異、変更になったページ構成等により、ベースデザインの状態から、ほころびが生じていました。合同印刷の制作スタッフと、状況を確認し、再度調整・検証を行いました。本文に関しては天地・ノドの余白の見直しとともに、一行の文字数・文字サイズ・文字間・行間を再検証し、複数案作成した中でセレクトしたもので再制作、各項の扉のデザインを再検証、追加ページのデザイン制作、各頁の微調整を行い、仕上作業に入りました。クライアントに提出・チェック後、デザインは校了。合同印刷にて色校・印刷・装丁を行い、初回ミーティングから最終的には約11ヶ月の制作期間を経て納品となりました。